はじめに
退職代行を使えば会社都合退職にできる、という噂を見かけます。実際は会社都合の可否は退職代行の有無では決まりません。判断材料は離職理由の事実関係と証拠、そしてハローワークでの取り扱い。ここを押さえれば、不利な自己都合退職を避けられる可能性が上がります。
僕ひろは会社員時代、ブラックな職場で消耗。社会保険給付金サポートを使って失業保険を長く受給し、失業手当をもらいながら開業届を提出。個人事業主として再就職手当約200万円を得た経験あり。制度と実務の両面から、退職代行と会社都合の正しい進め方を案内します。
- 退職代行と会社都合退職の関係
- 会社都合になり得る理由とグレーゾーンの見極め
- 証拠の集め方と離職票のチェック手順
- 失業保険で不利にならないポイント
- 時系列チェックリストと体験談

ひろ、退職代行を使えば会社都合にできるって本当なの?



それは誤解だよ。会社都合になるかは証拠と手続き次第。退職代行は魔法じゃなくて、その設計をブレずに進めるための道具なんだ。



なるほど、魔法じゃなくて設計か。理解したよ。
会社都合退職の基本:自己都合との違い
- 会社都合退職は事業主側の事情による離職。自己都合退職は労働者側の事情による離職
- 特定受給資格者・特定理由離職者という中間カテゴリが存在
- 最終判断は離職票の離職理由記載とハローワークでの事実確認
項目 | 会社都合退職 | 自己都合退職 | 特定受給資格者・特定理由離職者 |
---|---|---|---|
主な理由 | 解雇、倒産、雇止め、退職勧奨の強い圧力、賃金未払い 等 | 体調、家庭、転職等の自己判断 | ハラスメントで就労困難、著しい労働条件変更、合理性を欠く転勤 等 |
判定の拠り所 | 会社の通知・客観資料 | 本人の申出 | 医療証明、相談履歴、通知文書 等 |
手続きの要所 | 離職票の記載、事実証拠の提出 | 離職票の記載 | 離職票の記載+裏付け資料 |
退職代行の役割 | 事実の整理、通知の適正化、窓口一本化 | 連絡代行、実務の整理 | 資料の言及、団体交渉や法的対応の橋渡し |
- 退職代行の利用有無は会社都合の要件ではない
- 離職票の文言と証拠の一致が重要
会社都合になり得る代表例とグレーゾーン
代表例(会社都合退職の典型)
- 倒産、事業縮小による整理解雇
- 雇止め通知(更新期待が相当程度あった有期契約)
- 退職勧奨の強い圧力や退職強要(録音・書面が鍵)
- 賃金未払い、著しい労働条件の不利益変更、度重なる長時間労働の強制
グレーゾーン(主張と証拠で評価が変わる領域)
- パワハラ・セクハラ等で就労継続が困難(診断書、相談履歴)
- 合理性を欠く転勤・配転通告
- 安全配慮義務違反が疑われる職場環境
- グレーゾーンは言い分だけでは弱い。時系列の事実と物証が判断材料
- 退職勧奨で「自己都合にして」と求められても、経緯の記録が残れば後から争える余地あり
会社都合を主張するための証拠リスト
種別 | 例 | 集め方のコツ |
---|---|---|
録音 | 退職強要、侮辱、圧力の発言 | 面談前に機器を準備。日付・参加者・趣旨をメモ |
文書 | 退職勧奨通知、雇止め通知、配置転換通告 | 原本コピーを保管。メールは.emlやPDFで保存 |
勤怠・賃金 | タイムカード、勤怠CSV、給与明細 | 月次でエクスポート。未払いは差分を計算 |
規程・契約 | 就業規則、雇用契約書、労使協定 | 最新版の入手。有効期間の確認 |
医療 | 診断書、通院記録、産業医記録 | 症状と就労可否の所見が分かる書式で依頼 |
相談履歴 | 労基署、社内窓口、外部相談機関 | 受付番号、担当者名、日時を記録 |
- スクショはフル画面+タイムスタンプで信頼性を高める
- 私物端末に会社データを無断移動はNG。閲覧権限の範囲で取得
- 感情的な長文SNS投稿
- 証拠の改ざんや過度な編集
- 社外秘資料の持ち出し
退職代行の正しい使い方:主張整理→通知→離職票確認
主張整理(時系列メモ化)
- 出来事を日付順に短文で記録
- 会社都合退職に当たり得る要素を箇条書き
- 退職日、有給休暇の方針、貸与物返却方法、連絡窓口を決定
通知(退職代行から会社へ)
- 感情表現を排した事実ベースの文面
- 退職勧奨や雇止め通知、未払いの存在など客観事実に言及
- 金銭や法的論点が見える場合は弁護士型、条件調整は労働組合型を選択
離職票の確認(相違は申出)
- 離職票の離職理由欄を精読
- 事実と異なる場合は資料を添えてハローワークで申出
- 退職代行に文面作成補助を依頼。窓口を一本化
- 通知は短く、事実と資料の型で統一
- 電話は避け、記録が残る手段に固定



離職票が自己都合になってたら、それでもう終わり?



終わりじゃないよ。資料を添えて申出すれば修正できる。ここで効いてくるのが証拠の濃度だ。



なるほど、証拠は筋トレみたいなもんだな。日々の積み上げが大事ってことか。
ケース別フローチャート:会社都合/特定理由/自己都合
状況 | 目安 | 次の一手 |
---|---|---|
解雇・倒産・雇止め通知あり | 会社都合の軸 | 通知文で該当事実を明記。離職票確認 |
退職勧奨の強い圧力 | 会社都合主張の余地 | 録音・通知を添付。労組や弁護士型を選択 |
ハラスメントで就労困難 | 特定理由離職の余地 | 診断書・相談履歴を整備。申出準備 |
上記に当たらない | 自己都合 | 有給・返却・書類の設計に注力 |
- フローチャートは道案内。実際は資料の厚みで結論が左右
- 迷ったら弁護士型か労働組合型で安全運転
会社都合・特定理由で変わる失業給付のポイント
- 給付制限(待期後の給付開始までの制限)の有無や短縮
- 所定給付日数の違いは被保険者期間と年齢、離職理由で変動
- 再就職手当の取り扱いに影響。早期就職でも不利を避けやすい設計
- 地域や時期で運用差が出る場合あり。最新の運用は手続き時に確認
- 離職理由の整合性が崩れると後工程で不利化
おすすめ退職代行サービス25選


退職代行サービスは数多くありますが、ここでは料金、交渉力、追加サポート(転職支援・給付金サポートなど)を総合的に比較し、特におすすめの28社を紹介します。ご自分の雇用形態や状況に合わせて選んでみてください。
退職代行モームリ
- 運営:民間企業+労働組合提携
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト12,000円
- 特徴:圧倒的なシェア率を誇る大手会社。YouTubeに実例動画を公開しており、どんなやり取りが行われるのかイメージしやすいです。弁護士監修で違法リスクを避けながら、団体交渉も視野に入る組合提携が強みです。
- 公式サイト
退職代行Jobs
- 運営:民間企業(労働組合と提携)
- 料金:27,000円前後
- 特徴:労働組合と提携しているため交渉が可能で、スピード退職にも強いです。後払いにも対応しているので、手元にお金がない方でも始めやすいです。顧問弁護士が監修しており違法リスクを回避しつつ、引越しや転職支援などのアフターフォローも充実しています。
- 公式サイト
退職代行OITOMA(オイトマ)
- 運営:労働組合
- 料金:24,000円(追加料金なし)
- 特徴:即日退職OKで、会社との交渉も可能です。返金保証制度があるので、失敗リスクを気にせず依頼できます。有給休暇や未払い残業代の問題も相談しやすいです。
- 公式サイト
弁護士法人みやび
- 運営:弁護士法人
- 料金:55,000円~
- 特徴:未払い給料や残業代の回収、損害賠償請求の対応など、法的に複雑なケースでも安心です。費用は高めですが、トラブルを100%回避したい場合や確実に権利を守りたい場合におすすめです。
- 公式サイト
退職代行ニコイチ
- 運営:民間企業
- 料金:27,000円
- 特徴:創業18年以上の老舗退職代行で、実績が非常に豊富です。後払い決済や転職支援などもあり、フォローが手厚いです。会社との交渉はできませんが、急ぎでトラブルが少なそうな人に合っています。
- 公式サイト
女性の退職代行>
- 運営:労働組合(toNEXTユニオン)
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:女性向けに特化した退職代行で、女性スタッフが丁寧に対応してくれます。職場でのセクハラやパワハラに苦しんでいる方にも安心して利用してほしいという姿勢が感じられます。
- 公式サイト
男の退職代行
- 運営:労働組合
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:「男性専用」と銘打ち、男社会特有の人間関係や体育会系の理不尽な職場文化に苦しむ方の駆け込み寺として人気です。担当スタッフが男性寄りの目線で親身にサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行TORIKESHI(トリケシ)
- 運営:労働組合(日本労働産業ユニオン)
- 料金:25,000円
- 特徴:LINEだけで相談から退職完了までやり取りが完結します。深夜でも連絡できるので、忙しい方には助かります。有給消化の交渉や離職票の手続きも任せやすいです。
- 公式サイト
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
ABAYO
- 運営:民間企業
- 料金:正社員19,800円 / アルバイト11,000円
- 特徴:低価格と退職できなかった場合の全額返金保証が魅力。正社員、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員で料金が異なり、転職支援も提供しています。
- 公式サイト
弁護士ビーノ
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
弁護士法人ガイア
退職代行サービスのretry(リトライ)
- 運営:行政書士事務所
- 料金:アルバイト20,000円 / 正社員30,000円
- 特徴:交渉はできませんが、行政書士ならではの書類作成サポートが強みです。全額返金保証があるので「退職できなかったらどうしよう」という不安を軽減できます。
- 公式サイト
辞スル
- 運営:民間企業
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト18,000円
- 特徴:低価格が魅力で、正社員とパート・アルバイトで料金が異なります。労働組合との連携や弁護士監修がついている点も安心です。
- 公式サイト
青山北町法律事務所
ほっとライン
退職代行ゼロユニオン
- 運営:労働組合
- 料金:正社員23,980円 / アルバイト18,700円
- 特徴:新卒社員の割引がある点が特徴です。退職が完了するまで追加料金はかからず、有休や残業代の交渉にも対応できます。書類送付などもサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行プラスサービス
- 運営:民間企業
- 料金:正社員21,780円 / アルバイト16,280円
- 特徴:女性スタッフだけで運営されているため、女性が相談しやすいと評判です。交渉はできませんが、全額返金保証や転職サポートなどが手厚いです。
- 公式サイト
ヤメドキ
- 運営:民間企業
- 料金:24,000円
- 特徴:後払いシステムを特徴としています 。
- 公式サイト
フォーゲル綜合法律事務所
- 運営:弁護士
- 料金:33,000円~
- 特徴:有名弁護士が在籍しており、公務員やナイトワークでも対応可能です。会社側が損害賠償を請求してきても、法的にきちんと対処してくれます。
- 公式サイト
退職代行あおぞらユニオン
- 運営:労働組合(あおぞらユニオン)
- 料金:12,000円~(詳細は要問い合わせ)
- 特徴:弁護士や社労士の資格を持つメンバーが複数在籍し、有給休暇や傷病手当金の手続きなどに詳しいです。低料金で団体交渉権が得られる点も評価が高いです。
- 公式サイト
退職代行相談所(司法書士)
- 運営:司法書士・行政書士
- 料金:55,000円
- 特徴:140万円以下の未払い残業代などであれば代理請求できます。弁護士より費用が安めで、民間業者より強力な法的権限を持っています。
- 公式サイト
退職代行やめたらええねん
- 運営:民間企業(労組提携情報あり)
- 料金:アルバイト9,800円~ / 正社員22,000円~
- 特徴:アルバイトなら1万円未満という格安料金が魅力です。交渉は難しい場合がありますが、「リピート割」などユニークな制度を設けています。
- 公式サイト
退職代行SARABA
- 運営:労働組合(SARABAユニオン)
- 料金:24,000円
- 特徴:テレビや雑誌で紹介実績が多く、知名度が高いです。有給消化交渉や残業代の請求などもしっかり代行してくれます。追加料金が発生しない一律料金も魅力です。
- 公式サイト
辞めるんです
- 運営:民間企業(LENIS Entertainment)
- 料金:27,000円
- 特徴:業界初の「後払いプラン(審査なし)」を打ち出したサービスとして有名です。会社と交渉はできませんが、退職代行が成功したあとに支払う形なので、経済的に厳しい方にはありがたいでしょう。
- 公式サイト
退職代行EXIT
- 運営:民間企業
- 料金:20,000円(一律)
- 特徴:最安級の価格設定と、業界初期からの実績が魅力です。メディア露出も豊富で、多くの方に認知されています。交渉はできませんが、単純な退職意思の伝達で十分な方には向いています。
- 公式サイト
退職代行ガーディアン
- 運営:東京労働経済組合(労働組合)
- 料金:24,800円
- 特徴:団体交渉権があるため、会社が退職を拒否しても粘り強く交渉してくれます。24時間365日相談を受け付けており、早朝や深夜でも連絡しやすいので助かる方が多いです。
- 公式サイト
失敗しない手順:時系列チェックリスト(保存版)
- 返却物はリスト化。追跡番号と受領記録を保存
- 退職理由は事実のみ。感情表現を含めない
- 上司からの連絡に個人LINEで返信
- 証拠がないまま断定的な主張
- 会社データの私的持ち出し
よくある質問(FAQ)
【退職代行体験談】会社都合・特定理由を認められた3例
体験談①|退職勧奨の強い圧力(30代・営業)
評価面談で繰り返し「自己都合で辞めてほしい」と求められ、強い圧力に苦しんでいました。面談は録音し、退職勧奨を示すメールも保存。労働組合型の退職代行を選び、通知文には録音とメールの存在を明記しました。ところが離職票の記載は「自己都合退職」。そこで記録を添えてハローワークに申し出た結果、会社都合退職として扱われ、給付制限なしで手続きが進みました。証拠を残したことが大きな決め手でした。
体験談②|雇止め通告(20代・契約社員)
直近の評価やシフトの状況から契約更新を期待していましたが、突然の雇止め通知を受けました。雇用契約の更新履歴、上長からのメッセージ、勤務実績を一式整理して提出。弁護士型の退職代行を利用し、交渉によって会社都合退職であることを確認できました。離職票の記載内容も一致し、スムーズに失業給付の受給を開始。自力では難しい判断を、専門のサポートが後押ししてくれました。
体験談③|ハラスメントで就労困難(40代・事務)
上司からの継続的な叱責が原因で睡眠障害を発症。診断書、産業医との面談記録、社内相談窓口への申告履歴をしっかり保全しました。退職代行を通じて事実を整理し、離職票の内容に相違があった際には資料とともに申出。結果、特定理由離職として取り扱われ、給付制限なしで手続き完了。病状の悪化を防ぎながら、安心して生活を立て直すことができました。
まとめ:事実×証拠×手続きが会社都合を左右する
退職代行の利用は会社都合退職の決め手ではない。結論を左右するのは、事実の時系列、証拠の厚み、離職票と申出の手順。退職代行は設計と実務の伴走役。事案に合う体制を選び、粛々と前に進める。
- 会社都合退職は離職理由の事実と証拠で判断
- 退職代行は文面の品質と窓口一本化で摩擦を減らす
- 退職勧奨、雇止め、未払い、ハラスメントは資料の濃度が勝負
- 離職票の相違は資料添付で申出。あきらめない
- 弁護士型・労働組合型・民間型の適材適所で安全運転



会社都合って運じゃなくて、設計の問題だったんだな。



その通り。事実・証拠・手続き、この三点セットをそろえれば不利を避けられる。



よし、今日から時系列メモを始めるよ。未来の自分への投資だ。
- 返却物の追跡番号、離職票の写し、申出書類一式をクラウド保管
- 就業規則、契約、評価資料は最新版を保存。更新日付のメモ化
本記事は一般的な解説。高難度の交渉や損害賠償の主張が絡む場合は弁護士型の退職代行へ早期相談がおすすめ。
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