はじめに
業務委託のまま限界を迎えたとき、退職代行は使えるのか。フリーランスや個人事業主でも、第三者に連絡や書面対応を任せられるのか。雇用契約とは違うルールがあるため、誤解が多いテーマ。
僕は会社員時代にブラック企業で心身を消耗し、社会保険給付金サポートを活用して脱サラ。失業手当を受けつつ開業届を出し、再就職手当で約200万円を得た経験を持っています。手続きの落とし穴と、前に進むための段取りを、実務目線で案内します。
- 業務委託でも退職代行を使えるケースと注意点
- 雇用契約と業務委託契約の要点比較
- 損害賠償リスクを最小化する考え方
- 契約解除通知のテンプレと進行フロー
- 相談前に確認すべき契約書チェックリスト

ひろ、業務委託でも退職代行って使えるの?クライアントに電話するのが一番キツいんだ…。



使えるよ。ただし呼び方は「退職」じゃなくて「契約解除」になる。契約書と証跡をそろえておけば、電話地獄からは卒業できる。



なるほど…じゃあ今日で着信音から卒業だ。
結論|業務委託でも退職代行は使える。ただし目的は契約解除の通知
退職代行の役割は、本人の意思表示と実務連絡の代行。業務委託でも活用は可能。
雇用の辞職と異なり、目的は契約解除の通知と事務連絡。解約条件は契約条項や民法の規定に従う。法的交渉や助言は弁護士のみが担当。ここを外すと非弁行為のリスク。
- 退職ではなく契約解除の設計図を作る
- 相手方への連絡は代行窓口に一本化
- 証跡はメールと書面で保存。電話だけで済ませない
雇用契約と業務委託契約の違い
観点 | 雇用契約 | 業務委託(請負・委任) |
---|---|---|
法律の土台 | 労働基準法、労働関係法令 | 民法、商法、契約条項 |
指揮命令 | あり。使用者の管理下 | なし。独立して業務遂行 |
社会保険 | 会社加入が原則 | 原則自己手配 |
給与・報酬 | 労働の対価(賃金) | 成果・役務の対価(報酬) |
終了方法 | 一般に2週間前の意思表示など | 契約条項優先。委任は解除可、請負は完了義務に注意 |
争点の典型 | 未払い残業、有給、ハラスメント | 損害賠償、違約金、著作権・秘密保持、偽装請負 |
- 契約書の条項が最優先。雇用の常識を当てはめない
- 請負は完了義務が強く、途中解除は紛争の火種
- 実態が雇用に近い偽装請負は、切り口が変わる可能性
法的リスクと損害賠償の注意点
- 委任型の業務委託は、民法の規定上、いつでも解除を主張できる場合がある。一方で相手方に損害が生じれば賠償の議論が生まれやすい
- 請負型の業務委託は成果完成を前提。納品直前の離脱は、再委託費や機会損失を根拠に請求を受ける恐れ
- 違約金条項、競業避止、秘密保持に違反しない運用が前提
- 交渉、和解、損害賠償の設計は弁護士の領域。一般の退職代行は意思伝達と事務連絡まで
- 感情的な応酬は逆効果。事実と日付で静かに進める
- 口頭だけで「やめます」と宣言し、そのまま放置
- 進捗資料やコミュニケーションログを残さない
- 成果物や貸与物の返却を先送りにする
おすすめ退職代行サービス25選


退職代行サービスは数多くありますが、ここでは料金、交渉力、追加サポート(転職支援・給付金サポートなど)を総合的に比較し、特におすすめの28社を紹介します。ご自分の雇用形態や状況に合わせて選んでみてください。
退職代行モームリ
- 運営:民間企業+労働組合提携
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト12,000円
- 特徴:圧倒的なシェア率を誇る大手会社。YouTubeに実例動画を公開しており、どんなやり取りが行われるのかイメージしやすいです。弁護士監修で違法リスクを避けながら、団体交渉も視野に入る組合提携が強みです。
- 公式サイト
退職代行Jobs
- 運営:民間企業(労働組合と提携)
- 料金:27,000円前後
- 特徴:労働組合と提携しているため交渉が可能で、スピード退職にも強いです。後払いにも対応しているので、手元にお金がない方でも始めやすいです。顧問弁護士が監修しており違法リスクを回避しつつ、引越しや転職支援などのアフターフォローも充実しています。
- 公式サイト
退職代行OITOMA(オイトマ)
- 運営:労働組合
- 料金:24,000円(追加料金なし)
- 特徴:即日退職OKで、会社との交渉も可能です。返金保証制度があるので、失敗リスクを気にせず依頼できます。有給休暇や未払い残業代の問題も相談しやすいです。
- 公式サイト
弁護士法人みやび
- 運営:弁護士法人
- 料金:55,000円~
- 特徴:未払い給料や残業代の回収、損害賠償請求の対応など、法的に複雑なケースでも安心です。費用は高めですが、トラブルを100%回避したい場合や確実に権利を守りたい場合におすすめです。
- 公式サイト
退職代行ニコイチ
- 運営:民間企業
- 料金:27,000円
- 特徴:創業18年以上の老舗退職代行で、実績が非常に豊富です。後払い決済や転職支援などもあり、フォローが手厚いです。会社との交渉はできませんが、急ぎでトラブルが少なそうな人に合っています。
- 公式サイト
女性の退職代行>
- 運営:労働組合(toNEXTユニオン)
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:女性向けに特化した退職代行で、女性スタッフが丁寧に対応してくれます。職場でのセクハラやパワハラに苦しんでいる方にも安心して利用してほしいという姿勢が感じられます。
- 公式サイト
男の退職代行
- 運営:労働組合
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:「男性専用」と銘打ち、男社会特有の人間関係や体育会系の理不尽な職場文化に苦しむ方の駆け込み寺として人気です。担当スタッフが男性寄りの目線で親身にサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行TORIKESHI(トリケシ)
- 運営:労働組合(日本労働産業ユニオン)
- 料金:25,000円
- 特徴:LINEだけで相談から退職完了までやり取りが完結します。深夜でも連絡できるので、忙しい方には助かります。有給消化の交渉や離職票の手続きも任せやすいです。
- 公式サイト
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
ABAYO
- 運営:民間企業
- 料金:正社員19,800円 / アルバイト11,000円
- 特徴:低価格と退職できなかった場合の全額返金保証が魅力。正社員、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員で料金が異なり、転職支援も提供しています。
- 公式サイト
弁護士ビーノ
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
弁護士法人ガイア
退職代行サービスのretry(リトライ)
- 運営:行政書士事務所
- 料金:アルバイト20,000円 / 正社員30,000円
- 特徴:交渉はできませんが、行政書士ならではの書類作成サポートが強みです。全額返金保証があるので「退職できなかったらどうしよう」という不安を軽減できます。
- 公式サイト
辞スル
- 運営:民間企業
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト18,000円
- 特徴:低価格が魅力で、正社員とパート・アルバイトで料金が異なります。労働組合との連携や弁護士監修がついている点も安心です。
- 公式サイト
青山北町法律事務所
ほっとライン
退職代行ゼロユニオン
- 運営:労働組合
- 料金:正社員23,980円 / アルバイト18,700円
- 特徴:新卒社員の割引がある点が特徴です。退職が完了するまで追加料金はかからず、有休や残業代の交渉にも対応できます。書類送付などもサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行プラスサービス
- 運営:民間企業
- 料金:正社員21,780円 / アルバイト16,280円
- 特徴:女性スタッフだけで運営されているため、女性が相談しやすいと評判です。交渉はできませんが、全額返金保証や転職サポートなどが手厚いです。
- 公式サイト
ヤメドキ
- 運営:民間企業
- 料金:24,000円
- 特徴:後払いシステムを特徴としています 。
- 公式サイト
フォーゲル綜合法律事務所
- 運営:弁護士
- 料金:33,000円~
- 特徴:有名弁護士が在籍しており、公務員やナイトワークでも対応可能です。会社側が損害賠償を請求してきても、法的にきちんと対処してくれます。
- 公式サイト
退職代行あおぞらユニオン
- 運営:労働組合(あおぞらユニオン)
- 料金:12,000円~(詳細は要問い合わせ)
- 特徴:弁護士や社労士の資格を持つメンバーが複数在籍し、有給休暇や傷病手当金の手続きなどに詳しいです。低料金で団体交渉権が得られる点も評価が高いです。
- 公式サイト
退職代行相談所(司法書士)
- 運営:司法書士・行政書士
- 料金:55,000円
- 特徴:140万円以下の未払い残業代などであれば代理請求できます。弁護士より費用が安めで、民間業者より強力な法的権限を持っています。
- 公式サイト
退職代行やめたらええねん
- 運営:民間企業(労組提携情報あり)
- 料金:アルバイト9,800円~ / 正社員22,000円~
- 特徴:アルバイトなら1万円未満という格安料金が魅力です。交渉は難しい場合がありますが、「リピート割」などユニークな制度を設けています。
- 公式サイト
退職代行SARABA
- 運営:労働組合(SARABAユニオン)
- 料金:24,000円
- 特徴:テレビや雑誌で紹介実績が多く、知名度が高いです。有給消化交渉や残業代の請求などもしっかり代行してくれます。追加料金が発生しない一律料金も魅力です。
- 公式サイト
辞めるんです
- 運営:民間企業(LENIS Entertainment)
- 料金:27,000円
- 特徴:業界初の「後払いプラン(審査なし)」を打ち出したサービスとして有名です。会社と交渉はできませんが、退職代行が成功したあとに支払う形なので、経済的に厳しい方にはありがたいでしょう。
- 公式サイト
退職代行EXIT
- 運営:民間企業
- 料金:20,000円(一律)
- 特徴:最安級の価格設定と、業界初期からの実績が魅力です。メディア露出も豊富で、多くの方に認知されています。交渉はできませんが、単純な退職意思の伝達で十分な方には向いています。
- 公式サイト
退職代行ガーディアン
- 運営:東京労働経済組合(労働組合)
- 料金:24,800円
- 特徴:団体交渉権があるため、会社が退職を拒否しても粘り強く交渉してくれます。24時間365日相談を受け付けており、早朝や深夜でも連絡しやすいので助かる方が多いです。
- 公式サイト
退職代行で契約解除を進める流れ
契約解除通知のテンプレ
契約解除通知書
〇年〇月〇日
〇〇株式会社 御中
契約者:氏名(住所・連絡先)
件名:業務委託契約の解除について
記
1. 〇年〇月〇日締結の業務委託契約(件名:〇〇)について、〇年〇月〇日をもって解除の意思を通知します。
2. 引渡済み成果物・未了タスクは別紙一覧のとおり。保有データは当方責任で消去/返却します。
3. 貸与物は〇年〇月〇日に追跡可能な方法で返送予定。
4. 未払報酬〇円につき、請求書を同封(支払期日:〇年〇月〇日)。
5. 以後の連絡は下記窓口に限定願います。
窓口:〇〇退職代行(連絡先)
以上
チェックリスト(保存版)
項目 | 確認内容 |
---|---|
契約形態 | 委任か請負か、混在なら実態ベースで整理 |
期間条項 | 自動更新、中途解除、更新拒絶の条件 |
料金条項 | 報酬の支払期日、出来高、追加費の扱い |
成果物 | 納品定義、検収、著作権・利用許諾 |
秘密保持 | 返却・破棄方法、罰則 |
競業避止 | 範囲、期間、対価の有無 |
違約金・賠償 | 上限、故意過失の扱い |
貸与物 | 返却方法、期日、リスト化 |
連絡経路 | 以後は代行窓口に限定、本人直電は受けない |
よくあるトラブルと対処法|偽装請負・契約不履行と言われたら
ケース1 偽装請負の疑い
実態として勤務時間管理、指揮命令、専用端末使用が恒常化。雇用に近い運用。
対処法
- 日報、チャット履歴、勤怠の指示記録を収集
- 雇用に準じる扱いの可能性を前提に、弁護士へ切替相談
- 求められる指示に従いすぎない運用へ是正
ケース2 納品直前の解除で損害賠償を主張された
対処法
- 契約条項、進捗証跡、代替可能性を整理。損害の範囲と因果関係を検討
- 引継ぎ資料と現状の成果を納品。善管注意義務を示す
- 交渉は弁護士対応に依頼
ケース3 突然の解除は違法だと脅された
対処法
- 解除条項と民法の一般原則を確認
- 書面で意思表示し、期限を区切って連絡
- 感情的な応酬を避け、記録を積み上げる
反証フレーズ例
- 以後のご連絡は記載の窓口に限定願います
- 返却物と成果物の一覧を同封しました。受領確認のみご返信ください
- 損害の具体的範囲と根拠資料の提示をお願いします
相談前に確認すべき契約書のチェックポイント
- 契約の名称と実態の一致。名称が業務委託でも中身が雇用になっていないか
- 解除条項の位置と文言。通知期間、方法、違約金の計算
- 検収基準。誰が何をもって完了とみなすか
- 知的財産権の帰属と使用範囲
- 秘密保持、競業避止、反社条項の有無
- 自動更新、更新拒絶、合意解除の手順
- 紛争解決条項の管轄と手続
- 原本の写しと最新の覚書をそろえる
- メールとチャットのやり取りはフォルダ分けして保存
- テンプレ契約でグレーな項目は、事実で補正
よくある質問(FAQ)
【体験談】業務委託でも前に進めた三つの例
ケース1|デザイン委任・20代・個人事業主
毎日の朝礼参加や細かい指示が常態化し、自由に働けるはずの業務委託が実質的に拘束状態に。メンタルが限界に達し、退職代行を通じて契約解除通知を送付しました。窓口を一本化し、進捗データと貸与PCの返却計画を同封。二週間で引き継ぎが完了し、未払いだった半月分の報酬も支払いが確定しました。電話の着信音に怯えなくなった瞬間、心がようやく軽くなったと振り返ります。
ケース2|エンジニア請負・30代・フリーランス
納品直前に要件が拡張され、追加費用の合意がないまま業務負担が増大。限界を感じ、弁護士対応の退職代行を選択しました。これまでの成果物と工数記録を整理し、段階納品で検収を確保した上で契約解除へ。相手側が損害賠償を示唆しましたが、因果関係や損害範囲が不明確として退けられました。契約上のリスクをクリアにできたことで、次の案件に集中できました。
ケース3|ライター委任・40代・副業
夜間に連日届く修正指示で生活リズムが崩れ、家族との時間が犠牲に。退職代行を通じて契約解除通知を出すと同時に、競業避止義務や著作権条項の解釈を弁護士に確認しました。その結果、既存記事の利用範囲を明確にして合意が成立。大きな摩擦もなく別の案件へ移行でき、執筆活動を続けながら家庭の時間も守れるようになりました。
まとめ|業務委託の退職は契約解除の設計で安全に進む
業務委託でも退職代行は使える。目的は契約解除の通知と事務連絡。契約条項と実態に合わせ、損害賠償リスクを下げる設計が鍵。火種があるなら弁護士対応を選ぶ。
- 雇用と業務委託はルールが別物。契約条項が最優先
- 委任は解除主張がしやすいが、損害の議論が生まれやすい
- 請負は完了義務に注意。段階納品や引継ぎで紛争を回避
- 連絡は代行に一本化。電話ではなく書面とメールで証跡化
- 契約解除通知テンプレとチェックリストで抜け漏れ防止
- 交渉と賠償の判断は弁護士へ。非弁リスクを避ける
- 不安が強いなら、弁護士対応の退職代行を起点に相談
- 貸与物と成果物はリスト化して返却
- 未払い報酬は証憑で固めて請求
- 競業避止と秘密保持は事前に再確認



契約解除って言い方に変えただけで、頭がスッとしたよ。やることも明確になった。



そうそう。設計図があれば進めるんだ。連絡一本化・書面・証跡、この三点を押さえれば電話地獄とはバイバイできる。



よし、まずは契約書の棚卸しから始める。今日中にフォルダを作るよ。
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