はじめに
退職代行を使っても有給休暇はちゃんと使えるのか。会社に拒否されたらどうなるのか。不安が重なると、一歩を踏み出しにくくなります。結論から言うと、年次有給休暇は労働者の権利であり、退職時でも原則として消化可能です。
鍵は、正しい文面での意思表示、日数に合わせた退職日の設計、そして交渉権限のある代行の選び方。この記事で、仕組みと手順を地図に落とし込みます。
・退職代行と有給休暇の関係(時季変更権の整理)
・消化できないケースと回避策
・弁護士型・労働組合型・民間型の違いと選び方
・有給を使って辞めるまでのスケジュール例
・会社への通知テンプレ、チェックリスト、NG行動
僕ひろは会社員時代にブラック企業で消耗し、社会保険給付金サポートを活用して失業保険を通常より長く受給。開業届を出して個人事業主となり、再就職手当の約200万円も得ました。実務と手続きの両面を体験した立場から、安心の進め方を案内します。

有給が残ってるんだけど…退職代行を使っても全部消化できるのかな?



設計次第でできるよ。まず残日数から退職日を逆算して、文面でしっかり意思表示。もし拒否された場合も、労組の団体交渉権や弁護士の権限を使えば備えは万全だ。



逆算は算数の苦手分野だけど…今日は頑張ってみるよ。
【結論】退職代行でも有給休暇は原則消化可能
・年次有給休暇は労働者の権利。取得に会社の承認は不要
・会社に認められた時季変更権は、退職時には行使しにくい事情がある
・退職代行経由でも、本人の意思表示と申請は有効
項目 | 通常の運用 | 退職時の運用 |
---|---|---|
会社の時季変更権 | 事業の正常な運営を妨げる場合に別日へ変更可能 | 退職日以降に振替ができず、実務上行使が難しい |
取得の承認 | 申請に対する承認は不要(権利行使) | 同様に不要。意思表示が核心 |
重要な準備 | 業務の引き継ぎ・スケジュール共有 | 退職日を有給残日数から逆算して設定 |
有給の買い取りは法的義務ではありません。就業規則や合意がある場合に限り得られる扱い。まずは消化を前提に設計。
有給休暇の基礎と確認ポイント
確認すべき基本
・付与要件と残日数:勤続や契約に基づき付与。アルバイト・パートも対象
・繰越と期限:消滅間際の有給は優先的に消化
・半日・時間単位の可否:就業規則で運用が異なる
・出勤義務との関係:有給期間中は出勤不要。会社連絡は退職代行へ一本化
・勤怠システムや給与明細で有給残日数を確認
・就業規則の有給運用(半日・時間単位、申請様式)を把握
・退職予定日から逆算し、消化の開始日を決定
有給が詰まりやすいケースと回避策
ケース | よくある原因 | 回避策・対応 |
---|---|---|
民間退職代行で会社が拒否 | 交渉権限がないため希望が伝達止まり | 労働組合型や弁護士型を選択。団体交渉・法的交渉で整える |
有給申請の意思表示が曖昧 | 口頭や曖昧なメッセージ | 文面で具体日程・日数を明記。控えを保存 |
退職日と日数のミスマッチ | 逆算不足で日数が余る | 退職日を先に固定せず、残日数から日付を設計 |
申請書未提出 | 社内様式の存在を失念 | 代行に提出代行を依頼。PDF化して証跡保管 |
引き継ぎ未計画 | 反発・現場混乱 | 引き継ぎ資料を先に作成。提出の証跡を残す |
・民間型に金銭交渉や法的主張を依頼
・SNSで会社名や内部情報を発信
・申請証跡を残さず口頭で進行
・退職日だけ先に指定し、消化の設計を後回し
有給取得に強い退職代行会社の選び方
運営形態 | できること | できないこと | 向く人 |
---|---|---|---|
弁護士型 | 未払い賃金・退職金・有給の法的交渉、損害賠償示唆への対応 | 特になし(代理権限あり) | 拒否・懲戒・金銭論点がある |
労働組合型 | 団体交渉権に基づく条件調整、有給の取得調整 | 弁護士資格が必要な法的代理 | コスパと調整力を重視 |
民間型 | 退職意思の伝達、窓口一本化、日程連絡 | 代理交渉・請求 | 速さ重視。トラブルが少ない前提 |
おすすめ退職代行サービス25選


退職代行サービスは数多くありますが、ここでは料金、交渉力、追加サポート(転職支援・給付金サポートなど)を総合的に比較し、特におすすめの28社を紹介します。ご自分の雇用形態や状況に合わせて選んでみてください。
退職代行モームリ
- 運営:民間企業+労働組合提携
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト12,000円
- 特徴:圧倒的なシェア率を誇る大手会社。YouTubeに実例動画を公開しており、どんなやり取りが行われるのかイメージしやすいです。弁護士監修で違法リスクを避けながら、団体交渉も視野に入る組合提携が強みです。
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退職代行Jobs
- 運営:民間企業(労働組合と提携)
- 料金:27,000円前後
- 特徴:労働組合と提携しているため交渉が可能で、スピード退職にも強いです。後払いにも対応しているので、手元にお金がない方でも始めやすいです。顧問弁護士が監修しており違法リスクを回避しつつ、引越しや転職支援などのアフターフォローも充実しています。
- 公式サイト
退職代行OITOMA(オイトマ)
- 運営:労働組合
- 料金:24,000円(追加料金なし)
- 特徴:即日退職OKで、会社との交渉も可能です。返金保証制度があるので、失敗リスクを気にせず依頼できます。有給休暇や未払い残業代の問題も相談しやすいです。
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弁護士法人みやび
- 運営:弁護士法人
- 料金:55,000円~
- 特徴:未払い給料や残業代の回収、損害賠償請求の対応など、法的に複雑なケースでも安心です。費用は高めですが、トラブルを100%回避したい場合や確実に権利を守りたい場合におすすめです。
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退職代行ニコイチ
- 運営:民間企業
- 料金:27,000円
- 特徴:創業18年以上の老舗退職代行で、実績が非常に豊富です。後払い決済や転職支援などもあり、フォローが手厚いです。会社との交渉はできませんが、急ぎでトラブルが少なそうな人に合っています。
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女性の退職代行>
- 運営:労働組合(toNEXTユニオン)
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:女性向けに特化した退職代行で、女性スタッフが丁寧に対応してくれます。職場でのセクハラやパワハラに苦しんでいる方にも安心して利用してほしいという姿勢が感じられます。
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男の退職代行
- 運営:労働組合
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:「男性専用」と銘打ち、男社会特有の人間関係や体育会系の理不尽な職場文化に苦しむ方の駆け込み寺として人気です。担当スタッフが男性寄りの目線で親身にサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行TORIKESHI(トリケシ)
- 運営:労働組合(日本労働産業ユニオン)
- 料金:25,000円
- 特徴:LINEだけで相談から退職完了までやり取りが完結します。深夜でも連絡できるので、忙しい方には助かります。有給消化の交渉や離職票の手続きも任せやすいです。
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退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
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ABAYO
- 運営:民間企業
- 料金:正社員19,800円 / アルバイト11,000円
- 特徴:低価格と退職できなかった場合の全額返金保証が魅力。正社員、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員で料金が異なり、転職支援も提供しています。
- 公式サイト
弁護士ビーノ
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
弁護士法人ガイア
退職代行サービスのretry(リトライ)
- 運営:行政書士事務所
- 料金:アルバイト20,000円 / 正社員30,000円
- 特徴:交渉はできませんが、行政書士ならではの書類作成サポートが強みです。全額返金保証があるので「退職できなかったらどうしよう」という不安を軽減できます。
- 公式サイト
辞スル
- 運営:民間企業
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト18,000円
- 特徴:低価格が魅力で、正社員とパート・アルバイトで料金が異なります。労働組合との連携や弁護士監修がついている点も安心です。
- 公式サイト
青山北町法律事務所
ほっとライン
退職代行ゼロユニオン
- 運営:労働組合
- 料金:正社員23,980円 / アルバイト18,700円
- 特徴:新卒社員の割引がある点が特徴です。退職が完了するまで追加料金はかからず、有休や残業代の交渉にも対応できます。書類送付などもサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行プラスサービス
- 運営:民間企業
- 料金:正社員21,780円 / アルバイト16,280円
- 特徴:女性スタッフだけで運営されているため、女性が相談しやすいと評判です。交渉はできませんが、全額返金保証や転職サポートなどが手厚いです。
- 公式サイト
ヤメドキ
- 運営:民間企業
- 料金:24,000円
- 特徴:後払いシステムを特徴としています 。
- 公式サイト
フォーゲル綜合法律事務所
- 運営:弁護士
- 料金:33,000円~
- 特徴:有名弁護士が在籍しており、公務員やナイトワークでも対応可能です。会社側が損害賠償を請求してきても、法的にきちんと対処してくれます。
- 公式サイト
退職代行あおぞらユニオン
- 運営:労働組合(あおぞらユニオン)
- 料金:12,000円~(詳細は要問い合わせ)
- 特徴:弁護士や社労士の資格を持つメンバーが複数在籍し、有給休暇や傷病手当金の手続きなどに詳しいです。低料金で団体交渉権が得られる点も評価が高いです。
- 公式サイト
退職代行相談所(司法書士)
- 運営:司法書士・行政書士
- 料金:55,000円
- 特徴:140万円以下の未払い残業代などであれば代理請求できます。弁護士より費用が安めで、民間業者より強力な法的権限を持っています。
- 公式サイト
退職代行やめたらええねん
- 運営:民間企業(労組提携情報あり)
- 料金:アルバイト9,800円~ / 正社員22,000円~
- 特徴:アルバイトなら1万円未満という格安料金が魅力です。交渉は難しい場合がありますが、「リピート割」などユニークな制度を設けています。
- 公式サイト
退職代行SARABA
- 運営:労働組合(SARABAユニオン)
- 料金:24,000円
- 特徴:テレビや雑誌で紹介実績が多く、知名度が高いです。有給消化交渉や残業代の請求などもしっかり代行してくれます。追加料金が発生しない一律料金も魅力です。
- 公式サイト
辞めるんです
- 運営:民間企業(LENIS Entertainment)
- 料金:27,000円
- 特徴:業界初の「後払いプラン(審査なし)」を打ち出したサービスとして有名です。会社と交渉はできませんが、退職代行が成功したあとに支払う形なので、経済的に厳しい方にはありがたいでしょう。
- 公式サイト
退職代行EXIT
- 運営:民間企業
- 料金:20,000円(一律)
- 特徴:最安級の価格設定と、業界初期からの実績が魅力です。メディア露出も豊富で、多くの方に認知されています。交渉はできませんが、単純な退職意思の伝達で十分な方には向いています。
- 公式サイト
退職代行ガーディアン
- 運営:東京労働経済組合(労働組合)
- 料金:24,800円
- 特徴:団体交渉権があるため、会社が退職を拒否しても粘り強く交渉してくれます。24時間365日相談を受け付けており、早朝や深夜でも連絡しやすいので助かる方が多いです。
- 公式サイト
有給を使って辞めるまでの流れ・スケジュール例
- 相談:ヒアリング:雇用形態、有給残日数、就業規則、引き継ぎの有無を整理
- 設計:退職日を有給残日数から逆算。必要書類・返却品を確認
- 通知:有給消化と退職の意思表示を文面で提出(代行経由)
- 証跡保全:申請書控え、送受信ログ、引き継ぎ資料の提出証跡を保存
- 有給期間:書類回収(離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証)、貸与品返却
- 退職完了:健康保険証返却、社会保険・年金の切替、失業手続き
残日数 | 退職日設計 | 具体イメージ |
---|---|---|
5日 | 1週間後の金曜退職 | 月曜から5日連続で有給消化。最終日にPC・社員証返却 |
10日 | 2週間後の金曜退職 | 10営業日を連続消化。引き継ぎ資料は有給前に提出 |
15日 | 3週間後の金曜退職 | 15営業日連続消化。書類回収・返却は宅配便で追跡管理 |
会社への通知テンプレ(コピペ可)
件名:年次有給休暇の取得および退職日のご連絡(氏名・社員番号)
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
下記の通り、年次有給休暇の取得および退職日をお知らせします。
1. 年次有給休暇の取得希望日:2025年○月○日〜2025年○月○日(計○日)
2. 退職日:2025年○月○日
3. 引き継ぎ:別紙の引き継ぎ資料にて共有済み
4. 貸与品返却:有給期間中に宅配便(追跡番号付)で返却予定
本連絡以降のやり取りは退職代行〇〇経由でお願いします。
氏名/社員番号/連絡先
会社から直接連絡が来た時の定型
ご連絡ありがとうございます。本件の窓口は退職代行〇〇に一本化しております。
以後のご連絡は同窓口宛にお願いします。



退職日を先に上司へ伝えちゃったんだ…。これで逆算が狂ったかもしれない。



まだ挽回できるよ。残日数をきちんと示して、有給消化 → 退職日の順で文面を確定すれば大丈夫。ログを残しておけば、後で食い違っても修正できる。



了解。ログは命だな。スマホの容量、ちゃんと空けておくよ。
退職代行を使って有給消化する際の注意点
・有給の意思表示は日付・合計日数・退職日をセットで明記
・申請様式がある場合はPDF化して提出。提出日時と送付先を記録
・退職日確定前に私物・貸与品を整理。返却は追跡番号付き
・離職票・源泉徴収票の送付先を指定。期限を明記
・会社との連絡は代行へ一本化。本人は返信しない運用
項目 | 状態 |
---|---|
有給残日数を勤怠で確認した | 済・未 |
退職日を逆算で設計した | 済・未 |
有給申請と退職通知を文面提出 | 済・未 |
引き継ぎ資料を提出し証跡保存 | 済・未 |
離職票・源泉徴収票・保険証の段取り | 済・未 |
貸与品返却の方法・追跡番号を確保 | 済・未 |
・合意前の買い取り前提での交渉依頼
・電話での口頭合意のみで進行
・SNSで在職・退職の経緯を発信
・民間型に法的交渉を要求
懲戒や損害賠償の示唆が出た場合は、弁護士型へ切替。証拠(勤怠、メール、チャット、録音)を整理して渡す。
よくある質問(FAQ)
- 退職代行を使っても有給は何日でも使えるのか
-
残日数の範囲で取得可能。退職日から逆算すれば連続消化も現実的。
- 会社に拒否されたらどうするのか
-
まずは文面とログを整理。団体交渉権のある労働組合型、または弁護士型で取得を調整。
- 有給の買い取りは必ずしてもらえるのか
-
義務ではない。就業規則や合意がある場合のみ。基本は消化を優先。
- アルバイト・パートでも対象になるのか
-
要件を満たせば年次有給休暇の付与対象。残日数を勤怠で確認。
- 即日退職と有給消化は両立できるのか
-
連絡は即日可能だが、消化には日数が必要。退職日と消化日程の設計がカギ。
【体験談】退職代行で有給をしっかり消化して辞められた3つの実例
事例①|20代・営業
長時間労働で体調を崩し、12日の有給を残した状態で労働組合型の退職代行に相談。残日数から退職日を逆算し、引き継ぎ資料を事前に共有しました。有給は連続取得とし、最終週に貸与品を追跡番号付きで返却。離職票も有給期間中に受領でき、ブランクを作らず転職活動に移れました。
事例②|30代・事務
当初は民間型の退職代行で申請しましたが、会社側が消極的で日程が曖昧に。途中で弁護士型へ切り替え、申請文面と勤怠データを提出。退職日と有給日数の整合を取り直し、残りの有給をほぼすべて消化できました。さらに源泉徴収票の送付先も指定でき、必要書類を確実に回収できました。
事例③|40代・看護師
交代勤務の職場で「人員不足だから有給は無理」と言われましたが、弁護士型の退職代行に相談。時季変更権のルールを踏まえて日程を再設計し、休暇取得を実現しました。退職金の扱いも確認でき、法的に整った形で安心して離脱。退職後は心身の回復に専念できたと振り返ります。
結論:有給休暇は権利。退職代行で賢く消化
・有給休暇は承認不要の権利。退職時も原則消化可能
・残日数から退職日を逆算し、文面で意思表示
・拒否・金銭・懲戒の懸念があれば労働組合型や弁護士型を選択
・チェックリストと証跡保全でトラブルを予防
・時季変更権は退職時に行使しにくい。まずは消化設計
・運営形態でできる範囲が違う。民間型は伝達まで
・通知は日付・日数・退職日をセットで記載
・引き継ぎ資料、離職票・源泉徴収票の回収を有給期間中に実施
・SNS発信と口頭進行は避ける。証跡を徹底保存



有給の逆算、やっと理解できたよ。これなら明日から動けそうだ。



いいね。残日数を確認してテンプレで意思表示、あとは窓口一本化と証跡保存を徹底すれば安心だ。



よし、チェックリストを埋めてから代行に連絡するよ。今日はぐっすり眠れそうだな。
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