はじめに
退職代行を使えば即日出社は不要になる場合が多い一方、引き継ぎを放棄して大丈夫かという不安が残りがち。引き継ぎが不十分だと、業務停止や損害賠償の主張に発展するリスクも想定。安全に辞める段取りが要点。
- 退職代行 引き継ぎに関する基本と法的な位置づけ
- 引き継ぎ放棄で起こりがちなトラブル事例と回避策
- 最低限の引き継ぎメモの作り方とテンプレ
- 弁護士対応の退職代行を選ぶ基準と質問集
- 返却物や書類のチェックリストとスケジュール感
辞めると決めたら退職ナビのひろは、会社員時代にブラック会社で心身を消耗。社会保険給付金サポートで失業保険を通常より長く受給しつつ開業届を提出、個人事業主となり再就職手当として約200万円を受給。自ら制度を活用してセーフティネットを確保した経験から、実務に根差したアドバイスを提供します。

退職代行は使いたいけど、引き継ぎゼロで飛んだら後で請求されたりしない?僕、夜しか眠れないタイプなんだよね…。



昼も寝ろ(笑)。冗談はさておき、完全放棄は確かにリスクだ。でも最低限の引き継ぎメモと返却の段取りを整えておけば、それが盾になる。そこを一緒に固めていこう。
退職代行を使う場合、引き継ぎは不要か?
- 法律に「引き継ぎ義務」の明文規定はなし。
- 就業規則や雇用契約に引き継ぎ条項がある企業は多数。業務上の善管注意義務や信義則の観点で、最低限の情報提供は望ましい。
- 体調悪化やハラスメントで出社不能でも、書面やデータでの引き継ぎは可能。証跡を残す運用が安全。
- 退職代行の連絡で即日出社不要になっても、退職日そのものは社内手続きや民法上の期間運用により最短でもおおむね2週間扱いになることが多い。
- この期間中に書類や貸与品の返却、基礎情報の引き継ぎを郵送やデータで完了させる設計。
会社に直接連絡したくない場合、退職代行を窓口にして引き継ぎ文書や返却方法を取り次いでもらう進め方。
引き継ぎをせずに退職したケースで起きたトラブル事例
事例 | 起きた問題 | 会社側の主張 | 争点 | 学び |
---|---|---|---|---|
顧客案件のパスワード未共有 | 業務停止で納期遅延 | 損害賠償請求 | 損害額と因果関係の立証 | パスワードは管理台帳の保存場所だけを共有。平文の送付は社内ルールに従う |
独占業務担当の即日退職 | 取引先との契約遅延 | 信用失墜の損害 | 具体的損害の有無 | 代替手順と連絡先一覧を残すだけでも影響軽減 |
書類返却なし・社用PC未返却 | 情報資産の毀損 | 実費負担・返還請求 | 返却催告と受領証跡 | 着払い返送、追跡番号と写真記録で反証を確保 |
私物と会社物の混在返却 | 設備不足の主張 | 弁償要求 | 所有権と証跡 | 返却リスト化と写真添付で誤解防止 |
請求が通るかは別として、請求のタネは減らせる。書面化と証跡化が最大の防御。
引き継ぎ放棄で損害賠償はあり得るか
- 会社は債務不履行や不法行為を根拠に主張することがある。
- 成立には、具体的損害と因果関係、相当因果の立証が必要。抽象的な「迷惑」だけでは困難。
- メールやチャットでの引き継ぎメモ、返却の追跡情報、発送控え等の記録が、注意義務を尽くした証拠として有効。
精神疾患やパワハラにより出社困難な場合、医療機関の診断書と退職代行経由のやり取り記録で事情説明の下支え。
- 会社用アカウントの無断削除やデータ廃棄
- 顧客データの私物端末への持ち出し
- 会社の要請を完全無視して記録も残さない対応
退職代行と引き継ぎの正しい向き合い方
最低限の引き継ぎメモを残すべき理由
引き継ぎメモの目的は、業務停止を避ける最低限の情報共有。詳細な教育ではなく、場所と状態の案内。
引き継ぎメモのテンプレ
- 担当プロジェクト名/顧客名/案件番号
- 現状の進捗と未完タスク(期限・優先度)
- 社内共有ストレージのパス(プロジェクトフォルダまで)
- 関連マニュアルや議事録の保管場所
- 社内外の主要連絡先(役割・メール・内線)
- 定例会議のスケジュールと開催方法
- 注意事項(特別な手順、例外対応)
- 管理者アカウントの所在と問い合わせ窓口
- 後継担当者未定の場合の暫定窓口(部署名)
- パスワード自体をテキストで送らない。社内パスワード管理ツールの保管場所と手順のみ記載。
- 個人情報を含む資料の送信は会社規程に合わせる。退職代行に取り次いでもらう際は、データの扱いを事前確認。
弁護士対応の退職代行でリスクを回避
判定ポイント | 弁護士型 | 労働組合型 | 民間型 |
---|---|---|---|
有給や退職金、残業代の交渉 | 可 | 可(団体交渉) | 不可 |
損害賠償など法的トラブル | 直接対応可 | 間接支援 | 不可 |
料金相場 | 高め | 中 | 低め |
向いている状況 | 交渉・紛争の懸念 | 有給交渉重視 | 連絡の一次停止が主目的 |
事前に聞くべき質問
- 交渉の可否と範囲はどこまでか
- 書類の受領管理と期限フォローは対応可能か
- 貸与品返却の段取りと受領確認方法はどうするか
- 前職からの直接連絡を止める具体手段はあるか
非弁リスクの回避が肝。交渉が絡むなら弁護士型か労働組合型を選ぶ。
上司への伝言・ファイル整理などの代替手段
- 共有サーバーのトップに「引き継ぎ_readme」フォルダを作成し、メモとリンク集を保存。
- 紙書類はレターパック等で部署宛に返送。内容物の写真を撮って控えを保管。
- 社用PCやスマホは初期化せずに返却。私物データはフォルダを分けて明示。
- 出社不能時は退職代行を通じて送付先住所・担当者名を確認。追跡番号を共有。
引き継ぎ・返却チェックリスト(保存推奨)
項目 | 実施 |
---|---|
引き継ぎメモ作成・PDF化 | 送付日時と送付先を記録 |
共有ストレージのリンク一覧 | URLとアクセス権の確認 |
未完タスクの一覧と期限 | 優先度A/B/Cで区分 |
貸与品返却(PC・携帯・社員証・鍵) | 追跡番号の保存 |
保険証・通勤定期の返却 | 期限と返却方法を明記 |
退職届の送付 | 配達記録を保存 |
離職票・源泉徴収票の受領 | 受領日と内容確認 |
有給休暇の消化・買上の扱い確認 | 交渉の窓口を一本化 |
チェックリストは写真・スクショ・追跡番号で証跡化。後日の誤解を予防。
おすすめの退職代行サービス25選


退職代行サービスは数多くありますが、ここでは料金、交渉力、追加サポート(転職支援・給付金サポートなど)を総合的に比較し、特におすすめの28社を紹介します。ご自分の雇用形態や状況に合わせて選んでみてください。
退職代行モームリ
- 運営:民間企業+労働組合提携
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト12,000円
- 特徴:圧倒的なシェア率を誇る大手会社。YouTubeに実例動画を公開しており、どんなやり取りが行われるのかイメージしやすいです。弁護士監修で違法リスクを避けながら、団体交渉も視野に入る組合提携が強みです。
- 公式サイト
退職代行Jobs
- 運営:民間企業(労働組合と提携)
- 料金:27,000円前後
- 特徴:労働組合と提携しているため交渉が可能で、スピード退職にも強いです。後払いにも対応しているので、手元にお金がない方でも始めやすいです。顧問弁護士が監修しており違法リスクを回避しつつ、引越しや転職支援などのアフターフォローも充実しています。
- 公式サイト
退職代行OITOMA(オイトマ)
- 運営:労働組合
- 料金:24,000円(追加料金なし)
- 特徴:即日退職OKで、会社との交渉も可能です。返金保証制度があるので、失敗リスクを気にせず依頼できます。有給休暇や未払い残業代の問題も相談しやすいです。
- 公式サイト
弁護士法人みやび
- 運営:弁護士法人
- 料金:55,000円~
- 特徴:未払い給料や残業代の回収、損害賠償請求の対応など、法的に複雑なケースでも安心です。費用は高めですが、トラブルを100%回避したい場合や確実に権利を守りたい場合におすすめです。
- 公式サイト
退職代行ニコイチ
- 運営:民間企業
- 料金:27,000円
- 特徴:創業18年以上の老舗退職代行で、実績が非常に豊富です。後払い決済や転職支援などもあり、フォローが手厚いです。会社との交渉はできませんが、急ぎでトラブルが少なそうな人に合っています。
- 公式サイト
女性の退職代行>
- 運営:労働組合(toNEXTユニオン)
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:女性向けに特化した退職代行で、女性スタッフが丁寧に対応してくれます。職場でのセクハラやパワハラに苦しんでいる方にも安心して利用してほしいという姿勢が感じられます。
- 公式サイト
男の退職代行
- 運営:労働組合
- 料金:正社員25,800円 / パート18,800円
- 特徴:「男性専用」と銘打ち、男社会特有の人間関係や体育会系の理不尽な職場文化に苦しむ方の駆け込み寺として人気です。担当スタッフが男性寄りの目線で親身にサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行TORIKESHI(トリケシ)
- 運営:労働組合(日本労働産業ユニオン)
- 料金:25,000円
- 特徴:LINEだけで相談から退職完了までやり取りが完結します。深夜でも連絡できるので、忙しい方には助かります。有給消化の交渉や離職票の手続きも任せやすいです。
- 公式サイト
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
ABAYO
- 運営:民間企業
- 料金:正社員19,800円 / アルバイト11,000円
- 特徴:低価格と退職できなかった場合の全額返金保証が魅力。正社員、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員で料金が異なり、転職支援も提供しています。
- 公式サイト
弁護士ビーノ
退職代行リーガルジャパン
- 運営:労働組合
- 料金:27,000円
- 特徴:転職支援や失業保険の申請代行まで幅広くサポートしています。会社への連絡をすべて代行してくれるので、まったく顔を合わせずに済む方も多いです。
- 公式サイト
弁護士法人ガイア
退職代行サービスのretry(リトライ)
- 運営:行政書士事務所
- 料金:アルバイト20,000円 / 正社員30,000円
- 特徴:交渉はできませんが、行政書士ならではの書類作成サポートが強みです。全額返金保証があるので「退職できなかったらどうしよう」という不安を軽減できます。
- 公式サイト
辞スル
- 運営:民間企業
- 料金:正社員22,000円 / アルバイト18,000円
- 特徴:低価格が魅力で、正社員とパート・アルバイトで料金が異なります。労働組合との連携や弁護士監修がついている点も安心です。
- 公式サイト
青山北町法律事務所
ほっとライン
退職代行ゼロユニオン
- 運営:労働組合
- 料金:正社員23,980円 / アルバイト18,700円
- 特徴:新卒社員の割引がある点が特徴です。退職が完了するまで追加料金はかからず、有休や残業代の交渉にも対応できます。書類送付などもサポートしてくれます。
- 公式サイト
退職代行プラスサービス
- 運営:民間企業
- 料金:正社員21,780円 / アルバイト16,280円
- 特徴:女性スタッフだけで運営されているため、女性が相談しやすいと評判です。交渉はできませんが、全額返金保証や転職サポートなどが手厚いです。
- 公式サイト
ヤメドキ
- 運営:民間企業
- 料金:24,000円
- 特徴:後払いシステムを特徴としています 。
- 公式サイト
フォーゲル綜合法律事務所
- 運営:弁護士
- 料金:33,000円~
- 特徴:有名弁護士が在籍しており、公務員やナイトワークでも対応可能です。会社側が損害賠償を請求してきても、法的にきちんと対処してくれます。
- 公式サイト
退職代行あおぞらユニオン
- 運営:労働組合(あおぞらユニオン)
- 料金:12,000円~(詳細は要問い合わせ)
- 特徴:弁護士や社労士の資格を持つメンバーが複数在籍し、有給休暇や傷病手当金の手続きなどに詳しいです。低料金で団体交渉権が得られる点も評価が高いです。
- 公式サイト
退職代行相談所(司法書士)
- 運営:司法書士・行政書士
- 料金:55,000円
- 特徴:140万円以下の未払い残業代などであれば代理請求できます。弁護士より費用が安めで、民間業者より強力な法的権限を持っています。
- 公式サイト
退職代行やめたらええねん
- 運営:民間企業(労組提携情報あり)
- 料金:アルバイト9,800円~ / 正社員22,000円~
- 特徴:アルバイトなら1万円未満という格安料金が魅力です。交渉は難しい場合がありますが、「リピート割」などユニークな制度を設けています。
- 公式サイト
退職代行SARABA
- 運営:労働組合(SARABAユニオン)
- 料金:24,000円
- 特徴:テレビや雑誌で紹介実績が多く、知名度が高いです。有給消化交渉や残業代の請求などもしっかり代行してくれます。追加料金が発生しない一律料金も魅力です。
- 公式サイト
辞めるんです
- 運営:民間企業(LENIS Entertainment)
- 料金:27,000円
- 特徴:業界初の「後払いプラン(審査なし)」を打ち出したサービスとして有名です。会社と交渉はできませんが、退職代行が成功したあとに支払う形なので、経済的に厳しい方にはありがたいでしょう。
- 公式サイト
退職代行EXIT
- 運営:民間企業
- 料金:20,000円(一律)
- 特徴:最安級の価格設定と、業界初期からの実績が魅力です。メディア露出も豊富で、多くの方に認知されています。交渉はできませんが、単純な退職意思の伝達で十分な方には向いています。
- 公式サイト
退職代行ガーディアン
- 運営:東京労働経済組合(労働組合)
- 料金:24,800円
- 特徴:団体交渉権があるため、会社が退職を拒否しても粘り強く交渉してくれます。24時間365日相談を受け付けており、早朝や深夜でも連絡しやすいので助かる方が多いです。
- 公式サイト
よくある質問(FAQ)
【体験談】引き継ぎに関する三者三様のリアル
体験談1|24歳 男性・飲食チェーン
長時間労働と人手不足が続き、睡眠障害を発症。出社も困難な状況で退職代行に即日依頼しました。引き継ぎメモはスマホで簡潔に作成し、店舗マニュアルと在庫表の場所、発注の締切時刻、緊急連絡先だけを記載。制服と鍵は宅配で返送し、追跡番号を共有しました。後日、店長から「最低限が揃っていて助かった」との言葉が伝えられ、トラブルなく離職票を受領。静養期間を経て倉庫管理の仕事へ転身しました。
体験談2|31歳 女性・広告制作会社
顧客修正が深夜まで続き、上司の叱責も日常化。弁護士型の退職代行を選び、引き継ぎメモにはクライアント別フォルダの場所、進捗シートのURL、入稿カレンダーを整理しました。社用Macはシリアル番号と写真を添えて返送。離職票が遅れた際には退職代行に期限フォローを依頼しました。さらに未払い残業代の相談も同じ窓口で対応してもらい、やり取りの往復によるストレスを避けることができました。
体験談3|38歳 男性・情報システム部
全社基幹システムを担当し、夜間障害対応が常態化。労働組合型の退職代行を利用し、有給休暇の取り扱いも交渉してもらいました。引き継ぎにはシステム構成図、運用手順の保存先、ベンダー連絡先、監視アラートの閾値一覧をまとめ、特権アカウントは「管理台帳の場所のみ」を記載。返却後に一部備品不足を指摘されましたが、梱包時の写真とリストを提示し誤解を解消。結果として円満退職となり、その後の転職にも成功しました。
チェックリスト|退職代行 引き継ぎの要点総まとめ
- 就業規則の引き継ぎ条項と返却ルールを確認
- 引き継ぎメモは場所と状態の共有に徹する
- パスワードは保管場所と手順のみを記載
- 貸与品はリスト化、写真撮影、追跡番号の保存
- 書類(退職届・離職票・源泉徴収票)は期限管理
- 交渉や紛争の懸念がある場合は弁護士対応を選択
- 体調が厳しい場合は退職代行へフォローを依頼
まとめ|結論は「出社不要でも情報は残す。証跡で守る」
- 退職代行 引き継ぎは明文義務ではないが、完全放棄はトラブルの種。最低限の情報提供で業務停止を防ぐ
- 損害賠償は具体的損害と因果関係の立証が鍵。証跡を整えれば主張を跳ね返しやすい。
- 引き継ぎメモは案件・未完タスク・保管場所・連絡先の4点を柱に簡潔作成。
- 返却はリスト化と追跡番号で可視化。書類は期限管理。
- 交渉や紛争が想定されるなら弁護士対応の退職代行を選ぶ。
- 体調第一。無理をせず、退職代行に段取りと連絡を任せる設計。



引き継ぎメモと返却の証跡、やることって意外とシンプルなんだね。



そうだよ。シンプルなことをきっちりやるのが一番強いんだ。おもちの睡眠もちゃんと守れる。



じゃあ昼寝の許可、正式に下りました(笑)
本記事は一般的な整理。個別事情や就業規則で扱いが変わる場合あり。体調やリスクが重い場合は弁護士対応の退職代行や専門家へ早めの相談が安全。
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